医療機関AI検索ラボMEDICAL AI SEARCH LAB

自院がAIにどう見えるか、自分で確かめる方法

特別なツールなしで、自院がAI検索上でどう扱われているかを観察する手順。質問の作り方、試すべき環境、記録の付け方、そして1回の結果で判断してはいけない理由。

AI検索

自院がAI検索でどう扱われているのか。特別なツールがなくても、手を動かせば観察は始められます。本記事はその手順です。医療機関のためのAI検索ハンドブックの一章として、先行公開します。

まず質問を用意します。3系統を作ってください。第一に指名質問——「(医院名)はどんなクリニックですか」「(医院名)の無痛分娩の体制は」。AIが自院の何を知っていて、どの情報源から語るかが見えます。第二に条件付きの地域質問——「(市区名)で土曜に診てもらえる皮膚科は」「(地域名)で無痛分娩に24時間対応している施設は」。患者の相談文に近い形で、自院が候補に挙がるかを見ます。第三に比較質問——「(自院)と(近隣院)の違いは」。それぞれ、言い回しを変えたバリエーションを2つ以上作ります。同じ意図でも言い回しで回答が変わることが、後で分かります。

次に環境です。1つのAIで試して終わりにしないでください。最低でもChatGPT・Claude・Geminiの3つ、可能ならWeb検索のオン/オフも切り替えて試します。理由は実測データにあります。本サイトの検証(150応答)では、「Web検索あり」の設定でも実際に検索が発動した割合はサービスによって0%から83%まで開きました。検索しないAIは学習時の知識だけで答えるため、あなたが昨日サイトを改善しても回答には反映されません。検索するAIは今日のウェブを見ます。つまり、どの環境で聞くかによって「見ているもの」が根本的に違うのです。

記録を付けます。日付、サービス名、Web検索の設定、質問文、自院への言及の有無、候補として挙がった医院、引用元として示されたページ——この7項目を表にして残します。とくに引用元は重要です。自院が語られるとき、公式サイトからか、ポータルサイトからか、口コミからか。AIの回答の「材料」がどこにあるかが、改善すべき場所を教えてくれます。

そして、最も重要な注意です。1回の結果で判断しないでください。同じ質問でも回答は揺らぎます。候補に出なかったからダメだ、出たから安心だ、という単発の判断は、統計的に意味を持ちません。週に1回、同じ質問セットを繰り返し、変化を記録する——観察として意味を持つのはこの形です。また、AIの回答内容を広告物に転用することは、医療広告ガイドライン上の問題を生み得るため避けてください。観察はあくまで自院の情報発信を見直すための材料です。

手作業での観察には限界もあります。数問×数環境×週1回で見えるのは傾向の入口までで、質問パターンの網羅、揺らぎの定量化、競合候補の変化の追跡には、数百回規模の系統的な検証が必要になります。本サイトが準備している検証レポートは、その部分を担うものです。まずは自分の手で観察を始め、そこで生まれた疑問を持ち込んでいただくのが、最も健全な使い方だと考えています。

この記事のFAQ

Q. 無料版のAIで試しても意味はありますか?
A. あります。ただし有料版とはモデルやWeb検索の挙動が異なる場合があるため、記録にはどのプランで試したかも残しておくと、後で比較する際に役立ちます。
Q. 自院が全く出てきません。問題でしょうか?
A. 単発の結果では判断できません。質問の言い回し、地域の指定の仕方、AIの検索発動の有無で結果は大きく変わります。まず記録を数週間続け、どの条件でも一貫して現れないのかを確かめてください。
Q. 観察で自院の情報が間違っていると分かったら?
A. AIの引用元(公式サイト・ポータル・口コミ等)のどこに古い情報や誤りがあるかを確認し、元の情報源を修正するのが基本です。AI側の回答を直接訂正する手段は現状ほぼありません。