医療機関AI検索ラボMEDICAL AI SEARCH LAB

全国7,643施設に広げて確かめた——美容関連クリニックのサイトは、AIに読める状態か

大阪400施設の外形調査を全国に拡大し、美容関連クリニック7,643施設の機械可読性を全数調査した。AIクローラー全許可88.7%、llms.txt 9.1%、構造化データ40.0%。そして登録URLの約1割が到達不能だった。

LLMO

この記事で分かること

  1. 美容関連クリニック全国7,643施設の機械可読性の実態
  2. 先行した大阪400施設の分布が全国を代表していたかの検証
  3. 公的データベースに登録されたURLの約1割がサイトに到達できないという所見

結論

AIクローラー12種の全許可は88.7%、llms.txtの設置は9.1%、構造化データの出力は40.0%だった。大阪400施設の分布とほぼ一致し、先行調査の傾向は地域固有ではなく業界全体の現在地だったことが確認された。また、URLが登録されている施設のうち約1割はサイト自体に到達できず、ウェブ情報の陳腐化が観測された。

大阪府の美容関連クリニック400施設の外形調査(機械可読性——AIがサイトを読める状態かどうか——の調査)を先日公開した際、「全国調査は現在進行中」と書きました。その全国調査が完了したので、続報として報告します。

設計です。厚生労働省の医療情報ネットに由来する全国の医科診療所のうち、美容外科・美容皮膚科・形成外科・皮膚科のいずれかを標榜する11,421施設を母集団とし、ウェブサイトのURLが確認できた7,643施設の全数を調査しました。今回はサンプリングではなく全数です。判定項目は大阪調査と同一で、robots.txtにおける主要AIクローラー12種の許可状況、llms.txtの設置、sitemap.xml、構造化データ(JSON-LD)、httpsなどの外形項目を機械判定しました(測定期間: 2026年7月13日〜14日・1施設1回・約17秒間隔の礼節クロール)。

結果です。主要AIクローラー12種をすべて許可しているのは7,643施設中6,776施設(88.7%)。一部または全部をブロックしているのは172施設(2.3%)でした。llms.txtを設置しているのは697施設(9.1%)。構造化データ(JSON-LD)の出力は3,060施設(40.0%)でした。

先行した大阪400施設の分布(全許可89%・llms.txt 10%・構造化データ52%)と並べると、AIクローラーの許可率とllms.txtはほぼ一致しました。大阪の数字は地域固有のものではなく、業界全体の現在地を代表していたと言えます。構造化データだけは全国が12ポイント低く出ましたが、これは抽出方法の差(大阪調査は美容外科・美容皮膚科の標榜を優先して400施設を抽出したのに対し、全国は皮膚科を含む全数)による可能性があり、断定はしません。

今回の全数調査で初めて見えた所見が一つあります。URLが公的データベースに登録されている7,643施設のうち、トップページに正常に到達できたのは6,832施設(89.4%)でした。残りの811施設(約1割)は、ドメインが解決できない(358件)、ページが存在しない(404が214件)、タイムアウトやSSLエラーなど、サイト自体に到達できません。閉院、移転、ドメイン失効、リニューアルによるURL変更——理由はさまざまと考えられますが、共通するのは「公的な登録情報とウェブの実態がずれている」ことです。AIが医療機関を語るとき、こうした陳腐化した情報も材料の一部になり得ます。自院の情報がどこにどう登録されているかを確認することは、AI対策以前の基礎として意味を持ちます。

読み方の注意です。本調査は外形の機械判定であり、コンテンツの質やAI検索での実際の扱われ方を測定したものではなく、有無が施設の優劣を示すものでもありません。JavaScriptで描画されるサイトやプラットフォーム型サイトでは判定が実態とずれる場合があり、判定不能として区別しています(判定不能率は項目により7〜11%)。

大多数の医療機関がAIを「拒否してはいないが、積極的に備えてもいない」状態にあるという構図は、大阪調査から変わりません。外形の整備は難しくなく、整えれば前提条件では先頭集団に入ります。その先——読める状態になったサイトが実際にAIにどう扱われるか——が、本サイトが実測で扱う領域です。

この記事のFAQ

Q. 大阪の調査と数字が少し違うのはなぜですか?
A. 対象の抽出方法が異なるためです。大阪調査は美容外科・美容皮膚科の標榜を優先した400施設の抽出、今回はURLが確認できた全国7,643施設の全数です。AIクローラー許可率とllms.txt設置率はほぼ一致しており、傾向は同じです。
Q. 自院のURLが古いままかどうか、どこを確認すればよいですか?
A. 医療情報ネット(厚生労働省)の自院ページ、Googleビジネスプロフィール、主要なポータルサイトの登録URLが現在のサイトと一致しているかの確認が起点です。移転やリニューアルの際に旧URLが残ることが、ずれの典型例です。
Q. 全国調査の生データは公開されますか?
A. 個別施設の判定結果は公表していません。公開は匿名の分布のみです。自院の状態は、robots.txtと構造化データの出力を確認することで、どなたでも同じ観点で点検できます。