この記事で分かること
- 新モデルが出た直後に、AIの推薦が実際に動いたのか
- 推薦を動かした要因は何で、動かさなかった要因は何か
- モデル更新をどう捉え、その間に何を積んでおくべきか
結論
無料版相当への世代交代だけでは、AIの推薦はほぼ動かなかった。動かしたのは、AIがどこまで深く調べるかと、患者がどこにいるか。だからモデル更新は無関係ではなく、蓄積した実績と外部の言及が効き始める機会として、更新のたびに測り続ける価値がある。
2026年9月3日、OpenAIが新しいモデル「GPT-6」を公開しました。新しいモデルが出るたびに、院長からは同じ質問が来ます。「対策はやり直しですか」。今回は公開直後の同じ週に、同じ質問群でAIの推薦を測り直しました。先に結論を言うと、モデルを新しくしただけでは推薦はほぼ動きませんでした。動かしたのは別の二つでした。
新しいモデルが出た直後に、何を測り直したのか
当ラボは、大阪市内のクリニック(当ラボの検証協力院)を対象に、患者が実際に使いそうな相談型の質問を固定し、AIがどのクリニックを候補に挙げ、そのうちどこを薦めるかを継続して測っています。今回は同じ質問群を使い、モデルの世代、モデルの階層(無料版相当と有料版相当)、そして「利用者が大阪にいる」という位置情報の有無を変えて、推薦がどう変わるかを見ました。方法の詳細は公開していませんが、比較の条件を揃えることだけを守っています。
モデルを新しくすると、推薦は動いたのか
ほぼ動きませんでした。無料版相当のモデルを旧世代から新世代に切り替えても、協力院が薦められる回数は変わらず、有料版相当に上げても言及が1件増える程度でした。22問を1回ずつ投げた範囲での観測ですが、「新モデルが出たから急に出るようになる」ことも、「急に出なくなる」ことも起きていません。
では、何が動かしたのか
一つ目は「どこまで深く調べるか」です。同じ世代のモデルでも、AIが深く調べる設定になっているほど、協力院の実績が読まれる傾向がありました。象徴的だったのは、患者になったつもりでChatGPTアプリから一時チャット・位置情報オンで相談したときです。APIでの測定では一度も出なかった協力院が、第1候補として提示されました。理由として挙げられたのは、学会発表やメーカー共催セミナーでの講演といった、サイト上に置かれている実績でした。AIは、読みに行ける状態にある実績なら評価する。ただし、浅く調べる設定ではそこまで辿り着かない、ということです。これは1回の手動観察で、繰り返し測ったものではありません。
二つ目は「患者の居場所」です。「利用者が大阪にいる」という位置情報を与えると、薦められる回数と言及される回数が増えました。モデルを変えても動かなかった推薦が、場所を伝えると動く。AIは患者の位置と地図上の情報を、想像以上に重く見ています。
モデル更新は、無関係なのか
無関係ではありません。今回分かったのは「一段の世代交代だけでは動かない」ことまでで、「モデルが更新されても何も変わらない」ではありません。学習データが更新されれば、その間にウェブ上に増えた自院への言及が取り込まれます。軽いモデルの推論力が上がれば、今は深く調べたときだけ拾われる実績が、標準の設定でも拾われるようになる可能性があります。つまりモデル更新は、蓄積した実績と外部の言及が「効き始める」タイミングです。だから当ラボは、モデル更新のたびに同じ条件で測り直しています。
| 変えたもの | 推薦の変化 |
|---|---|
| モデルの世代(無料版相当・旧→新) | 変わらず |
| モデルの階層(無料版相当→有料版相当) | 言及が1件増える程度 |
| AIが調べる深さ(浅い→深い) | 実績が読まれ、アプリでは第1候補として提示(1回の観察) |
| 患者の居場所(位置情報なし→大阪) | 薦められる回数・言及が増加 |
経営者が今週できること
第一に、地図サービスに載っている自院の名称・住所・診療時間を最新にする。患者の居場所が効く以上、地図側の情報が古いと、そこで落ちます。
第二に、自院の実績がサイトのどこにあるかを確認する。学会発表や講演の記録が、AIが読みに行ける形(テキストで、たどれる場所に)置かれているか。PDFの中や画像の中にしかないなら、読まれません。
第三に、自分のスマホで、一時チャットから患者になったつもりで聞いてみる。位置情報をオンにして、患者が使う言葉で。1回の結果で判断はできませんが、自院がどう語られるかを自分の目で見ることに意味があります。
読み方の注意
本記事は1つのクリニック・1週間の測定に基づきます。世代交代の効果は無料版相当の一段・22問・各1回の観測に限られ、アプリでの第1候補提示は1回の手動観察です。数値は概数と傾向のみを示し、他院や他の質問に同じ結果が出ることを保証するものではありません。
Verification Reports
あなたのクリニックは、AIにどう読まれているか
患者が実際に使う質問でAIに繰り返し聞き、あなたのクリニックが候補に挙がるか、サイトのどのページが読まれ、どのページが読まれていないか、代わりにどこが挙がっているかを検証し、改善の論点に整理します。正式提供は準備中ですが、先行して個別のご相談に応じています。
※ 順位向上保証・掲載保証・推薦保証は行いません。観察と改善論点の整理を目的としています。
出典 / 参考資料
- 当ラボ台帳 E-125(2026年9月9日測定) — 医療機関AI検索ラボ / 2026-09-09内部
- GPT-6 Astra: A new generation of intelligence — OpenAI / 2026-09-03
- ChatGPTに聞いてみた、で一喜一憂しない — 医療機関AI検索ラボ / 2026-09-06
この記事のFAQ
- Q. 新しいモデルが出たら、対策はやり直しになりますか
- A. 今回の測定では、無料版相当のモデルを新世代に切り替えても推薦はほぼ動きませんでした。やり直しではなく、モデル更新は蓄積した実績や外部の言及が効き始める機会と捉え、同じ条件で測り直すことを勧めます。
- Q. 無料版と有料版で、結果は違いますか
- A. 今回の観測では、有料版相当に上げても言及が1件増える程度でした。差が出たのはモデルの階層よりも、AIがどこまで深く調べる設定になっているかでした。
- Q. アプリで聞いた結果とAPIで測った結果が違うのはなぜですか
- A. アプリでは位置情報や深く調べる設定が働き、APIの既定設定では読まれない実績まで辿ることがあります。どちらか一方では実態が分からないため、当ラボは両方を見ています。