医療機関AI検索ラボMEDICAL AI SEARCH LAB

英語や中国語でAIに聞いても、AIが読んでいるのは日本語のサイトだった

東京・大阪の医療機関を探す20の質問を日本語・英語・中国語(繁体)で用意し、2つのAI検索に各2回投げた240応答を観察した。外国人が英語や中国語で質問しても、AIはあなたのクリニックのホームページを日本語のまま読み、その内容を患者の言語で答えていた。外国人患者はサイトを読んでいるのではなく、AIに読ませている。外国語ページより先に、日本語の一次情報がAIに読める形になっているかが問われる。

AI検索

この記事で分かること

  1. 外国人患者の言葉でAIに聞いたとき、AIが何を読んで答えているか
  2. 日本語のサイトが、外国語の質問への回答の材料になっている実態
  3. インバウンド患者を受け入れる医療機関が、サイトのどこを整えるべきか

結論

英語・中国語の質問に対しても、AIが引用したページの大半は日本語だった。外国人患者はあなたのサイトを読まない。AIに読ませて、AIの説明を聞いている。だから整えるべきは翻訳ページより先に、AIが正確に読める日本語の一次情報である。

外国人患者がクリニックを探すとき、日本人のようにInstagramを見るとは限りません。日本語の投稿は読めず、サイトの構成も母国と違います。代わりに使われるのがAIです。「東京で無痛分娩ができる病院は」「大阪で英語が通じる美容クリニックは」と母国語で聞き、AIの説明で判断する。では、そのときAIは何を読んで答えているのでしょうか。

何を測ったのか

当ラボは、東京・大阪の医療機関を探す患者の質問20問を、日本語・英語・中国語(繁体)で用意しました。無痛分娩、美容医療、がん治療、健診、通訳や費用の相談など、実際に外国人患者が尋ねそうな内容です。20問×3言語の60問を、Web検索を使う2つのAI——ChatGPT(API経由)とGemini(API経由)——に2回ずつ投げ、計240応答を観察しました。挙げられた施設、その理由、そしてAIが根拠として示した引用ページを記録し、引用ページの言語を確認しています。

AIは、外国語で聞かれても日本語を読む

引用ページの言語を確認できた範囲で、結果はこうでした。英語で質問したとき、AIが引用したページは日本語171件、英語72件。中国語で質問したときは、日本語190件、中国語7件。日本語で質問したときの日本語175件・英語32件と比べても、質問の言語に関係なく、AIの根拠は日本語のページに偏っていました。

理由は単純で、日本の医療機関の情報は、公式サイトも公的なデータベースも、ほとんどが日本語でしか存在しないからです。AIは英語や中国語のページを探しても見つからず、日本語のページを読んで、質問の言語で答えます。

つまり、外国人患者は日本語のサイトを読めなくても、AIが代わりに読んで説明している。あなたのクリニックのホームページを日本語のまま読み、その内容を英語や中国語で患者に伝えているのです。患者がサイトを訪れる前に、AIによる「読み解き」が終わっています。

何が説明され、何が説明されないか

AIが説明できるのは、日本語のページに書いてあることだけです。当ラボの測定では、英語・中国語の質問で施設を挙げた応答は80応答中72〜73と、日本語の67より多く、AIは外国語の質問には積極的に施設名を出していました。一方で、「外国人を受け入れている」「英語が通じる」という説明を、引用元を示さずに述べた言及が、英語で47件、中国語で50件ありました。日本語では6件です。日本語のページに受け入れ体制が明記されていなければ、AIは推測で補うか、何も言えない。どちらも、患者にとって正確な情報ではありません。

医療機関は、何を整えるべきか

翻訳ページを作ることより先に、日本語の一次情報をAIが正確に読める形にすることです。医師の経歴と専門、診療の方針、合併症への対応、外国人患者の受け入れ体制と対応言語、総額での料金。これらが日本語で、テキストとして、構造を持って書かれていれば、AIはそれを読み、患者の言語で説明します。書かれていなければ、AIは料金表を読み上げることしかできません。

外国人患者にとってクリニックの第一印象は、サイトそのものではなく、AIがサイトを読んで説明した内容です。整える対象は、その説明の材料です。

読み方の注意

本記事は20問・2つのAI・各2回の観測に基づきます。引用ページの言語は、取得できたページのHTML属性から判定したもので、一方のAIについては引用先を追跡できないため未測定です。「日本語ページが多い」という所見は、測定できた範囲に限られます。挙げられた施設は同一条件でも回によって変わるため(完全一致は、少なくとも一方で施設が挙がった110組中2組・1.8%)、個別の施設名や順位は扱っていません。数値は概数と傾向のみを示し、特定の対策の効果を保証するものではありません。

2026年10月6日訂正:揺らぎの数値を、2回とも施設が挙がらなかった10組を除いて集計し直した値に訂正しました(完全一致 10% → 施設が挙がった110組中2組・1.8%)。結論は変わりません。

Verification Reports

あなたのクリニックは、AIにどう読まれているか

患者が実際に使う質問でAIに繰り返し聞き、あなたのクリニックが候補に挙がるか、サイトのどのページが読まれ、どのページが読まれていないか、代わりにどこが挙がっているかを検証し、改善の論点に整理します。正式提供は準備中ですが、先行して個別のご相談に応じています。

※ 順位向上保証・掲載保証・推薦保証は行いません。観察と改善論点の整理を目的としています。

出典 / 参考資料

  1. 当ラボ台帳 E-127(2026年9月25日測定) — 医療機関AI検索ラボ / 2026-09-25内部
  2. 新しいAIモデルが出ても、推薦はほとんど動かなかった——動かしたのは「調べる深さ」と「患者の居場所」 — 医療機関AI検索ラボ / 2026-09-24
  3. ChatGPTに聞いてみた、で一喜一憂しない — 医療機関AI検索ラボ / 2026-09-06

この記事のFAQ

Q. 英語や中国語のページを作れば、AIはそちらを読みますか
A. 存在すれば読まれる可能性はありますが、今回の観測では外国語ページの引用は日本語ページに比べて少数でした。まず日本語の一次情報を整え、そのうえで翻訳するのが順序です。
Q. AIが「外国人受け入れ可」と説明した内容は正確ですか
A. 引用元を示さない説明が英語・中国語で多く観測されました。自院の受け入れ体制と対応言語をサイトに明記しておくことが、誤った説明を防ぐ現実的な方法です。
Q. 自院がどう説明されているか確認できますか
A. 自分で英語や中国語でAIに聞くことで一部は確認できます。当ラボでは複数条件・複数回で観察する検証を行っています。