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SEOをやっているサイトは、AI対応もしているのか——6,590施設のクロス集計

構造化データの地域差はSEO投資の差なのか。全国調査の保存HTMLから SEO投資の代理指標を抽出し、AI検索対応との連動を実測した。半分は連動し、半分は連動していなかった。

LLMO

この記事で分かること

  1. 構造化データ(JSON-LD)の出力はSEO投資の代理指標と強く連動していること
  2. 東京の構造化データ率の高さはSEO・計測投資の地域差と整合すること
  3. AI固有の対応(llms.txt)だけはSEO投資と連動していないこと

結論

6,590施設の実測では、構造化データの出力はSEO投資の代理指標と強く連動していた(canonical設置との県レベル相関0.73、SEOプラグイン保有施設でのオッズ比27.7倍)。東京の構造化データ率の高さも、SEO・計測投資の地域差と整合する。一方、AI固有の対応であるllms.txtはSEO投資との連動が弱く、アクセス計測を入れている施設ほど設置が少ないという逆方向の連関さえ観察された。SEOの蓄積はAI検索対応の土台の相当部分を自動的に用意するが、AI固有の部分は、現状ではどの標準的な施策パッケージにも含まれていないと考えられる。

この記事に出てくる用語
robots.txt
サイトの入口に置く、クローラー(サイトを自動で読みに来るプログラム)向けの案内文。どのプログラムにどこを読ませるか・読ませないかを書いた、テキストのファイル。
AIクローラー
ChatGPTやGeminiなどのAIサービスがサイトを読みに来るときに使うプログラム。GPTBot、ClaudeBot、PerplexityBotなど、サービスごとに名前が決まっている。
llms.txt
AIに向けて「このサイトには何があるか」を要約して置く案内ファイル。比較的新しい提案で、設置は任意。
sitemap.xml
サイト内のページ一覧を機械が読める形にしたファイル。検索エンジンやAIがページを見つけやすくなる。
構造化データ(JSON-LD)
ページの内容を機械が理解できる形で書き添えたもの。「これは診療時間」「これは医師名」といった意味づけを、人間向けの表示とは別に持たせる。
外形調査
サイトの中身の質ではなく、上記のような「機械から見た形」が整っているかを、外側から機械的に調べること。

先日の東京の記事で、構造化データ(JSON-LD)の出力率が東京47.1%・全国40.0%と差があり、その原因として「地域による制作環境の違い」を仮説として挙げました。本記事はその仮説を、実測で検証した結果です。

方法を簡単に。全国7,643施設の外形調査では、到達できた各施設のトップページHTMLを保存してあります(6,590施設分・到達施設の96.5%)。ここから、SEO投資の痕跡を示す指標——meta descriptionの記述、canonicalの設定、OGP(SNSシェア用の情報)、アクセス計測タグ(GA/GTM)の設置、SEOプラグインの使用痕跡——を機械抽出し、構造化データやllms.txtの有無との連動を調べました。新しいクロールは行っていません。

結果は明確でした。構造化データの出力は、SEO系の指標と強く連動しています。県単位で見ると、canonical設置率の高い県ほど構造化データ率も高い(相関係数0.73・施設数30以上の35県)。施設単位ではさらにはっきりしており、SEOプラグインの痕跡がある施設は、ない施設に比べて構造化データを出力している比率が27.7倍(オッズ比)。canonicalで12.7倍、OGPで10.0倍です。構造化データは、多くの場合SEO施策の一部として実装されている——という構図がデータから読み取れます。

東京の差もこの構図と整合します。東京はSEO系指標も軒並み全国より高く、特にアクセス計測タグの設置は+8.3ポイントと、構造化データの差(この分母では+6.9ポイント)と同じ幅でした。「東京の構造化データ率が高いのは、SEO・計測への投資が厚い地域だから」という説明は、少なくともデータと矛盾しません(因果の証明ではありません)。

ここまでなら「SEOをやっていればAI対応もできている」という結論に見えます。しかし一つだけ、はっきり違う動きをした項目があります。llms.txt——AIに向けたサイト案内という、AI固有の対応です。llms.txtの設置率は、県単位ではSEO系指標との相関がほぼ消え、施設単位では、アクセス計測タグを入れている施設ほど設置が少ないという、逆方向の連関(オッズ比0.62)さえ観察されました。理由は本調査では特定できません。ただ言えるのは、llms.txtの設置は、SEO投資の延長線上に自動的には生まれていない、ということです。

経営の観点で整理すると、こうなります。SEOに投資してきたサイトは、構造化データやcanonicalといった「AIにも効く土台」の相当部分を、意図せずすでに持っています。しかしAI固有の対応は、現状ではどの標準的な施策パッケージにも含まれていないように見える。つまり、SEOの蓄積は土台の半分を自動で用意するが、残りの半分は、まだ誰かに「おまかせ」して整う段階にない——ここが、外形調査全体を通じて見えてきた業界の現在地です。

読み方の注意です。保存HTMLはトップページのみで、JavaScriptで後から描画される実装は検出できないため、各検出率は下限値です。到達できなかった施設は分母に含まれず、県によって分母が異なります。そして相関や連関は、因果を証明しません。詳細な方法と制限事項は検証記録として公開しています。県別の集計は美容関連クリニック AI可読性調査(都道府県別)で確認できます。

この記事のFAQ

Q. SEOプラグインとは何ですか?
A. WordPressなどのサイト管理システムに追加して、meta情報や構造化データの出力を支援するソフトウェアです。本調査ではHTML内に残る痕跡から使用の有無を機械判定しました。
Q. 「オッズ比27.7倍」はどのくらい強い関係ですか?
A. SEOプラグインの痕跡がある施設群とない施設群を比べたとき、構造化データを出力している比の比が27.7倍という意味です。観察研究では非常に強い連関ですが、因果関係(プラグインを入れれば引用されやすくなる等)を示すものではありません。
Q. llms.txtは設置すべきですか?
A. 本調査は設置の効果を測定したものではありません。llms.txtは比較的新しい提案で、AI側の利用状況も発展途上です。設置は低コストですが、効果の保証はなく、当サイトでは効果検証の観察を続けています。